最近は美沙ちゃんの悪阻が酷いので、子供たちと一緒に山本家にいることがほとんどです。
そんな状況なので、私も慌ただしい生活をしていました。
そういう私もだいぶお腹が出ていますので、さくらちゃんにはだいぶ助けられています。
ちなみにさくらちゃんは、美沙ちゃんの長女です。
もちろん本名ではありませんので、ご心配は大丈夫です。
そんな慌ただしい中、夫である和彦さんの話題になりました。
「そう言えば、和ちゃんにありがとうって言われたらしいよ。」
「えっ?なんのこと?」
「恵ちゃんの妊娠だよ。」
「えっ?」
「恵ちゃん、会社の人と写真撮らなかった?」
「撮ったけど…。」
「それが和ちゃんの会社で広まっちゃって、それで喜んでるみたいだよ。」
「えっ、なんで?」
美沙ちゃんが息子に聞いた話では、お腹の大きくなった私の写真が会社で話題になっていたとのことでした。
そのことが良い意味で和彦さんへの元へ伝わり、回り回って、ゆうちゃんへの感謝、となったようでした。
確かに、夫を迎えに来る社員さんと一緒に写真を撮ったことがありました。
今月の半ばのことでしたが、若い女性社員で、夫が出てくるまでの間に軽く会話したことがありました。
女性ということもあり、妊婦となった私と一緒に記念写真撮りたいということでOKしました。
「そんなことになってたのね…。」
「恵ちゃんを妊娠させたってことで凄い羨ましがられてるみたいだよ。和ちゃん、歳だからね。」
私にとっては少し複雑な気分ですけど、息子に礼を言うくらいなので、機嫌はすこぶる良いものだと思っていました。
そして昨夜の事になりますけど、このことをそれとなく夫に聞いてみました。
「ん?あぁ、美沙に聞いたのか?」
「はい、あなたがゆうちゃんと話すなんて珍しいので、ふふっ。」
「恵子が知らないだけで、少しは話してるんだぞ。あいつは俺の息子でもあるからな。」
「そうですね。ふふっ、なんか、嬉しいっ。」
「ただ、色々と言ってくる奴もいるから、手放しで喜ぶとはいかないもんだな。特に女は…。」
「えっ?」
「いや、なんでもない。」
そう言って彼はお茶を濁して、書斎に行ってしまいました。
それでそれを美沙ちゃんに今朝話してみたのですが、さすがは元妻だと思いました。
「きっと愛人から何か言われたんじゃない?」
「ええっ!?なにそれ?」
「あれ、言ってなかった?会社にも和ちゃんの女がいるって。今はどうなってるかわかんないけど、美沙のときはときどきあったよ。」
確かにそんな話を聞いた記憶もあります。
「けど、和彦さんは…。」
「だからだよ。和ちゃん、あっちダメなのに、なんで恵ちゃんが妊娠するのって言われたんじゃない?」
「…。」
そこまで頭が回りませんでしたが、彼のことなので、あり得ない話ではありませんでした。
(けど、そんなこと聞けないよ…。それにもし…。)
そんなことを認められてしまったら、私はきっと嫉妬で怒ってしまうと思います。
全く意に介しない美沙ちゃんが本当に羨まししく思えました。

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