あの頃の母さんはある会社で仕事をしていた。
部活帰りに遊ばない限り、大抵は僕の方が早く家に帰っていた。
その日も母さんはまだ帰っていなかった。
「暑い…。汗でべったりだ…。」
梅雨の時期ということもあり、湿度のせいでシャツが張り付くほどだった。
急いで着替え、予習をしてしまおうとしたときだった。
洗濯機の横の洗濯カゴにシャツを入れようとしたとき、あるものが目に留まった。
(これって…。)
つやつやと光沢のあるそれは、間違いなく母さんのパンツだった。
よくよく考えると母さんの下着を見るのは久しぶりだった。

もっと小さいときは一緒に風呂に入っていたので下着どころか裸だって見ている。
しかし、いつの頃からか、そういうのを見かけないことに気付いてしまった。
(もしかして、母さん、俺に見られないように?)
今日はたぶん慌てていたのだろう。
シャツの下に隠したつもりだったのだろうけど、パンツの半分以上が見えてしまっていた。
もうこのときの僕は普通じゃなかった。
(母さんのパンツがどんなのか、見てみたい…。)
その衝動が抑えきれなかった。
「ゴクッ…。」
どんなドラマや映画でも、緊張した行動するときは喉が鳴ってしまうものだ。
そのときの僕もまさにそうだった。
(母さんの、パンツ…。)
ただ、これも同じだが、悪いことをしようとするときは必ず何かが起こるものだ。
「ただいま~!」
もう少しでパンツに触れようとしたとき、その持ち主が帰ってきてしまった。
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