僕が母さんを意識し始めたのは高校1年のとき。
それまでの母さんは、本当に母さんだった。
気付いたらいつもそばにて、口うるさいけど、優しい、どこにでもいる母さんだった。
そのはずだった。
けど、初めての面談で母さんが学校にやってきた日だった。
別にその日は何もなかった。
ちょっとした事件があったのは、その次の日だった。
高校に入ってから出来た友達が、変なことを言ってきた。

「昨日学校に来てた女の人って、もしかして〇〇のお母さん?」
もちろん母と答えた。
それからは質問攻めが待っていた。
それは、ある意味健全な男子高校生のものだった。
「あの巨乳は何カップ?」
「〇〇は毎日見てるのか?」
「モデルとか、やってた人?」
当然、知らないこともあるし、言いたくないこともあったからほとんど答えなかった。
ただ、一番印象に残ったのはある友達の一言だった。
「〇〇のお母さんだったら、俺は付き合えるな。」
確か4、5人いた友達も、みんなその言葉に同意していた。
その日から、僕が母さんを見る目は少しずつ変わっていった。
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