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短編小説

【短編】あなたからパパに

「疲れたぁ…。」

「本当、もうクタクタね。」

「うん、けど、これで俺たちもようやく夫婦になれたね。」

「…はい、あなた。」

「ううっ…。」

「えっ、なに? どうしたの?」

「感動してるんだよ。 ようやく、ようやく恵子が、呼んでくれたから!」

「もぅ、こんなことで…。 恥ずかしいよ。」

「本当に嬉しい! 何より恵子が忘れてなかったのがめちゃくちゃ嬉しいんだ!」

「もぅ、あなたったら…。」

「だめだ、我慢出来ない!!」

「きゃっ!」

(ああん、もう、やっぱりこうなるんだからぁ…。)

彼は武美と言います。

今日から、私の夫になった男性です。

先ほど、結婚式を終え、ようやくホテルに着いたところでした。

東京の夜景が一望出来る素敵なホテルでした。

彼、いいえ、夫とは約束をしていました。

結婚してから呼び名を変える、と…。

当時の夫は不満そうでしたが、私は恋人気分を味わいたかったので、そんな約束をしました。

そして今日、夫の待ちわびた日がやってきました。

(あん、もぅ…。 すぐに始めたら、素敵な夜景を、見られないじゃない…。)

普段は優しくて、大人しい人ですが、ベッドには入ると別人になります。

優しいところは変わりませんが、セックスの激しさは普段からは想像出来ないほど豹変します。

「あああっ、そんな、武美、まだ、着いた、ばかり、なのに…。」

「あっ、だめだよ、恵子。 呼び方、呼び方!」

「あんっ、もう…。 あ、あなた、せっかく、夜景も、綺麗なの、に、これじや、あっ、だめ、ああっ!」

一旦、セックスが始まると、夫は何時間でも動き続けます。

昼から始めて、翌朝まで抱かれ続いたこともありました。

初めて交わった時は、身体が壊れると思ったほどです。

私の身体も彼に馴染んでいましたが、やっぱり負担はあります。

それに今日は理由もあります。

「夜景? そうだね、じゃあ、これから見ようか?」

(えっ、今、なの?)

身体は、もう火が付いていました。

キングサイズのベッドに押し倒おされた時点で、身体は条件反射のように蜜を溢れさせていました。

もちろん、武美の大きなペニスもすんなりと飲み込んでいました。

(1度挿れたんだから、最後までしてくれたらいいのに…。)

こんな時、自分の身体が恨めしく思います。

武美に仕込まれた身体は、少しくらいの快楽では満足出来なくなってました。

「あれ、その顔…。 恵子、不満でしょ?」

「ち、違うよ!」

見透かされたことによる羞恥心が、私の身体をより一層淫らに変えます。

「大丈夫、ほら、こっちにおいで!」

手を引かれ、窓の側まで連れていかれます。

「えっ、あっ! うわぁ!!」

そこには、東京の夜景が一面に広がっていました。

「凄く綺麗!!」

「本当に綺麗だ!」

「ねぇ。 このホテルを選んで正解だったね!」

「ん、あぁ、俺の綺麗は、夜景のことじゃないよ。」

「えっ?」

「恵子が綺麗って言ったんだよ。」

「えっ、もぅ、恥ずかし、ん、んんっ!!」

窓を背に、武美がキスをしてきます。

(あぁ、だめ、蕩けちゃう…。)

夜景と、武美の甘い言葉が、キスをより一層甘美なものに変えていきます。

そしてさらに追い討ちをかけるように、武美が囁きます。

「ウエディングドレスも最高に綺麗だったよ。」

「ほんと?」

「本当だよ。 それに、肩も胸元も、あんなに露出してさ。 こんなエロい人が奥さんだなんて、会社の奴らもびっくりしてたよ。」

「あ、あれはあなたが良いって言うから…。 この歳で、あのカットは、恥ずかしいんだからぁ。」

「そんなことないよ。 凄い似合ってたよ。 それに…。」

「それに、なに?」

不安そうな顔で夫を見つめると、彼はニヤリとして耳元に口を寄せました。

「男連中、きっと勃起してたよ。 恵子を見てさ。」

身体中が熱くなるのを感じます。

「いや、もぅ、恥ずかしいこと言わないでよ…。」

「そう? 身体は反応してるみたいだよ? ほら、これも、勃起、だね。」

そう言いながら乳首を弄ぶ夫。

焦らされたことと、恥ずかしい言葉を言われたことで、身体中が発情していました。

「恵子は、左が好きだったね。」

窓辺に立ったまま、乳首を吸う夫。

「あぁ、いやっ、そんな、ああぁ…。」

(左だけ、そんなに、吸わないで…。 乳首、大きくなっちゃうよぉ…。 でも、でも、気持ち、いい!!)

「ふふっ、本当は気持ちいいでしょ?」

「いや、そんな、言わないでぇ…。」

「本当の事を言わないなら、こうだよ!」

(えっ、あっ、これ、恥ずかしい!)

腰の高さくらいの窓の淵に私を座らせ、脚を大きく開かされます。

「ちょっ、た、武美、だめ、恥ずかしい…。」

「あなた、でしょ? 忘れものの恵子には罰が必要だね。」

「えっ、あっ、いやぁ、こんな格好で、舐めないでぇ!!」

夜景を背に、M字に開いた脚の中心には、いやらしい夜の花が、蜜を垂らして咲いていたはずです。

夫は、それに引き寄せられるように蜜を啜ります。

「ジュル、ジュルッ、はぁ、はぁ、恵子のお汁、美味しいよ。」

「いや、もぅ、恥ずかしい…。」

「もっと気持ちよくなりたいでしょ?」

(え、挿れて、くれる、の?)

お預けになっていたペニスだけが脳裏に浮かびます。

「は、はいっ、早く、欲しいの…。」

「欲しい? じゃあ、恵子は自分で触ってみて。」

「えっ? あなたの、は?」

「今日はもう少し恵子のお汁飲みたいんだ。 だから、もっと垂らして。」

もうペニスしか頭にありませんでした。

彼からのご褒美をもらうため、私の手は、意思とは関係なく秘所に向かいます。

「はぁ、はぁ、やっぱり恵子は左の乳首が好きなんだね?」

無意識でした。

右手は左の乳首を、左手はクリトリスを弄っていました。

「うわっ、すっごい出てきた!」

膣口から溢れる蜜を必死に飲もうとする夫。

けど、私はもうそれどころではありませんでした。

「あっ、あっ、だ、だめ、イ、イク、イク、逝っちゃう!!」

「恵子!?」

その瞬間はあまり記憶がありませんでした。

ただ、夫の濡れた髪や顔、床に広がったシミを見れば何が起こったかは容易にわかりました。

「ああっ、ごめんなさい!!」

「大丈夫、大丈夫! 俺は逆に嬉しいよ。」

「けど、こんなにあなたを汚してしまって…。」

「大丈夫だって、ほら!」

目の前には、普段より大きいペニスが反り返っていました。

(あぁ、これが私を、狂わせるの…。)

きっと物欲しそうな顔をしたのだと思います。

窓に手をつかされ、膣の深くまで串刺しにされました。

もうその後はほとんど記憶がありません。

気が付いたときには、ベッドに横たわり、彼が優しく髪を撫でていました。

「どう? 恵子の不満も吹き飛んだ?」

「もぅ、武美ったら…。 そんなんじゃないんだからぁ…。」

「あっ、また名前呼んだ!」

「ご、ごめんなさい…。」

「まぁ、いいよ。 これからずっと一緒なんだからさ。 ゆっくり夫婦になろうね。」

「う、うん…。」

「ん、何か気に障った?」

本当はもっと早く伝えなくてはならないことが起きていました。

「あのね…、あなた、はすぐに使わなくなるかも…。」

「えっ? なんで? やっぱり、嫌?」

「ううん、あなた、って呼ぶの、好きよ。 けど、それじゃだめなの。 私たちのこと知ってもらうためには、もうすぐ変えないと…。」

「え、誰に知ってもらうの?」

真剣な眼差しを向ける夫を、妻が見つめ返します。

やがて妻の視線は、ある場所へ向かいました。

視線を追う夫。

やがて彼は驚いた顔で妻の方へ振り向きます。

(そうなの、そうなの!)

そこには、今日一番の笑顔で抱き合う夫婦がいました。

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