『買い物に行くけど、母さんも一緒にどう?』
美沙ちゃんにその事を伝えると、そのまま泊まってきて大丈夫と言われました。
(こんな早くからゆうちゃんに会えるなんて!)
今夜はもともとお泊りの予定でしたが、息子の部屋に行けるのは6時か7時くらいと思っていました。
「大して買い物じゃないけど、天気も良いから散歩でもしようよ。」
息子の部屋に行ったのは3時過ぎなので、お買い物が終わったらお茶でもしてこようと思いました。
(なんかこういうの久しぶり!)
コロナ禍になってから、外でデートすることは激減しました。
近所とは言え、嬉しさが止まりません。
しかし、それだけでは済みませんでした。
「えっ、お買い物って、これ?」
家から遠い、普段は使わないドラッグストアでしたので、少し不思議に思っていました。
(お散歩だからこっちまで来たのかと思ったけど…。これが目的だったのね…。)
「そうだよ。母さんにはほとんど使わないけどね。あっ、けど、こっちなら使うかな。」
「うっ…。ちょ、ちょっと…。」
人目が無いのを良い事に、母のお尻を触る息子。
「あっ、も、もぅ、こんなとこで…。」
小声で息子に伝えますが、彼は笑っているだけでした。
「それより、早く買って帰ろうよ。」
「う、うん…。」
24歳の男と45歳の女が、寄り添ってレジに並びます。
その2人が購入しようとしているものは、厚さ0.01ミリと書いてある箱が3箱だけでした。
(もぅ、恥ずかしいよ…。)
ドラッグストアを出るまでは、もう気が気ではありませんでした。
「これだけしか買わないなんて、恥ずかしいよ…。」
「えっ、どうして?」
「だって…。これから、します、みたいじゃない?」
「けど、実際そうでしょ?」
「ま、まぁ、そうだけど…。けど、若いカップルからわかるけど…。お母さん、いい歳だし…。変に思われないかな?」
「母さんは本当に謙虚だね。こうやって歩いてたら普通の夫婦だよ。」
繋いでいた手に少しだけ力入れる息子。

(そうだといいけど…。)
美沙ちゃんと歩いてる姿を見てしまっていると、どうしても自分と比べてしまいます。
「それより、中は大丈夫?外れてない?」
「えっ、あ、うん…。入ってるよ…。」
「その割には平気な顔しているね。母さんには刺激が弱すぎたかな?」
「そんなことないよ。これでも顔に出ないように、頑張ってるんだから…。」
「そうなんだ?中がどうなってるか、帰ってからのお楽しみだね。」
(もう、この子ったら…。どんどんいやらしくなって…。)
帰宅するまでは、また何かされるまではないかと心配でした。
しかし、その後は本当にお散歩デートでした。
コーヒーショップでテイクアウトして、近くの公園に立ち寄りました。
心地良い空気の中で、コーヒーを飲みながら息子とお話するのは、本当に幸せなひと時でした。
ただ、そんなゆったりとした時間は、部屋に戻るまででした。

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