スポンサーリンク
スポンサーリンク
日記

本当の10月29日の夜(前編)

子供たちの食事も終わり、そろそろお風呂に入れようとしていたときでした。

「ただいま!」

息子の部屋に行っていたはずの美沙ちゃんが帰ってきました。

「えっ、どうして?」

明日は土曜日なので、きっと朝まで一緒だと思っていました。

「恵ちゃん、これからお風呂?」

「うん、そうだけど…。何かあったの?」

「ゆう君が呼んでるよ。すぐに来てくれって。」

「!?」

最初はよく意味がわかりませんでした。

「恵ちゃんにすぐ来るようにって言われたから帰ったきたんだよ。」

(えっ、なんで…。いまさら、何言ってるのよ…。)

正直言って、もう息子の部屋に行きたいという気持ちは無くなっていました。

本当の10月29日の夜(前編)

原因は、息子が一番良く知っているはずでした。

「行かない。これからお風呂だからって、美沙ちゃんからゆうちゃん伝えて…。」

「やっぱりそう言うと思った。恵ちゃん、これ見て。」

彼女の差し出したのはスマートフォンでした。

そこには息子のメッセージが書かれていました。

『母さんはきっと来ないって言うだろうね。それは母さんの好きにしたらいいよ。けど、もし本当に来なかったら、俺と母さんはもう終わりだよ。普通の親子でいいなら、来なくていいよ。』

「こんなのズルいよ…。」

美沙ちゃんに言ったわけではありませんが、つい声が出てしまいました。

「恵ちゃんが怒るのはわかるよ。けど、今日は行った方がいいよ。」

「けど…。」

「あたしを信用して。」

たぶん、家族の中で、一番頭の上がらないのは彼女に対してです。

結局、身なりを整えて、息子の待つマンションに向かいました。

コメント

あなたは18歳以上ですか?アダルトコンテンツを含みますので18歳未満の方はご利用できません。
タイトルとURLをコピーしました